家をつくるとき、自然災害に強い家であることを皆さん当たり前のように大切にされていると思います。自然災害といえば、まず地震を思い浮かべる人も多いでしょう。2000年以降長野県内では、2014年11月に白馬村を震源として、2011年3月には栄村を中心とする県北部で、6月には松本市など県中部で地震がありました。大雨による災害は、2019年の台風19号災害が記憶に新しいところです。2006年には岡谷市で豪雨による土砂災害がありました。他にも、御嶽山や浅間山など県内には活火山がありますから、噴火のおそれもあり、県北部の豪雪地帯では雪による災害にも備えが必要です。
自然災害に備えるために、まず大切なことは、災害が起きる可能性のある場所、災害が起きたときに大きな被害に遭いそうな場所に家をつくらないことです。長野県や各市町村では、想定される災害の危険地域を示したハザードマップなどを公開しています。家をつくるときは事前に確認し、また住宅会社にもその地域で起こりそうな災害について確認しておきましょう。地震への備えについては、地盤調査で強固な地盤だと確認された土地を選ぶことが大前提になります。
宅地が決まったら、次は災害に遭っても耐えられる家をつくること。ここでは、特に地震に対する建物の指標、「耐震等級」について紹介します。国が定めるこの指標は以下のようになっています。耐震等級1=建築基準法が示す最低限の耐震性能。震度6〜7の地震に耐えられる。耐震等級2=耐震等級1の1.25倍の耐震性能。長期優良住宅や避難所に指定されるレベル。耐震等級3=耐震等級1の1.5倍の耐震性能で災害復興時の拠点とされる消防署などが指定されるレベル。
建築基準法を満たす耐震等級1であれば、住宅会社は耐震等級を示すことなく家を建てることができます。だから、あえて自分たちがつくる家の耐震等級を明らかにし、しかもその計算方法も説明している会社は、耐震性能に自信があるとみて良いでしょう。
万一のときも家族を守ってくれる家が頑丈なだけでなく、災害後もわが家で生活できれば安心です。災害に遭っても電気や水が使えるよう、太陽光発電や蓄電池、貯水タンクを備えた家も増えてきました。もちろん、災害の種類や程度によっては避難すべき時もありますから、避難所、非常持ち出し品、家族との連絡方法や集合場所などの確認は、どんな家に住んでいても大切です。災害に強い家の要になるのは、被害を最小限にとどめようとする家族一人ひとりのこころがけです。