平屋とは2階以上の階がない、1階建ての住宅のことです。近ごろ家を建てる人のあいだで、平屋の人気が高まっていると耳にしたことはありませんか。あるいは皆さんのなかにも、自分が家を建てるならぜったい平屋だと考えている方もいるかもしれません。では実際のところ、平屋は増えているのでしょうか。
国土交通省の調査によると、2024年に建てられた新築住宅のうち17%が平屋でした。2015年ではその割合が8%ほどだったので、2倍以上に増えていることになります。もちろん、いちばん多いのは2階建で、その割合は73.3%(2024年)だったものの、平屋を選ぶ人が着実に増えていることは事実のようです。
平屋が選ばれているのには理由があります。いくつか挙げてみましょう。
①階段がないこと。年を取ったとき、階段の上り下りが辛くなることを考えると、暮らしが1階で完結するのは助かります。バリアフリーも取り入れやすいです。また、階段がないと、動線がシンプルで効率的になります。アパートから住み替えの場合、平屋なら新築でも動線になじみやすいでしょう。
②コンパクトな家がいい。自分にとって必要なものだけで暮らしたいから、広い家は要らない、最小限の空間があればいいと考える人が増えています。
③掃除、家事が楽。ワンフロアのみで動線が効率的だと、家事の負担も軽減されます。長く住むのだから、日々のストレスは小さい方がいいですね。
④耐震性が高い。2階建に比べて構造が安定しているので、平屋は地震や風に強い傾向にあります。また、窓も大きくできます。
平屋にもデメリットはあります。これもいくつか例を挙げてみます。
①坪単価が高くなる。やはり同じ30坪の家を建てるとき、平屋の家は基礎も屋根も2階建の2倍になるので、総建築費を面積で割ると割高になります。
②日当たり、風通しが心配。隣のお宅との位置関係によっては、日当たりや風通しが悪くなることが予想されます。
③プライバーシーの問題。LDKなど家族共有の空間と個室が近くなりがちで、一人で静かな時間を過ごしたい人は間取り等を工夫した方がよさそうです。
④防犯について。2階建てなら、2階の窓を開け網戸にして寝たり、外出したりできますが、1階だけの平屋だと同じようにはいきません。
どんなつくりの家にもメリット・デメリットはあります。平屋について挙げた特徴も、あなたが何を優先するかをもとに、メリットとデメリットを比較してみてください。たとえば、坪単価が多少上がっても、老後の心配をなくすことを優先するのか、家族のコミュニケーションも大事だけれど、プライバシーに重きを置きたいのか、家族とじっくり話してみるとよいでしょう。
また、デメリットに挙げたことがらも、土地選びや間取り、お庭のつくり方などで解決できることもあります。平屋に関心のある方は、特集で取り上げた住宅会社に相談してみることをおすすめします。